なぜリンゴを「ふつうに」撮影するだけのために、
「ふつう」ではない撮り方をするのでしょうか?
なぜリンゴを「自然に」描写するために、
「不自然」なほどたくさんのライトで複雑な
照明を行わなくてはいけないのでしょうか?
その答えは、プラトン哲学のなかにあります。
あなたはいま、「ふつうのリンゴ」と聞いて、
どんなリンゴを頭に思い浮かべましたでしょうか?
おそらくそれは「ふつうのリンゴ」ではないはずです。
多くの人の頭のなかにあるリンゴは、
完全無欠の理想的な姿をしたリンゴであるはずです。
これこそがプラトンのいう「イデア」、
現実を離れた完全無欠の理想型なのです。
ところが現実のリンゴは、完全無欠にはほど遠いものばかり。
形も色も、かならずどこかにいびつなところがあります。
そして普通にその場におくと、
理想的ではない影や写り込みが発生します。
そのまま撮影してしまっては、ふつうどころか
汚いリンゴにしかならないのです。
その不完全なリンゴを、人々の頭の中にあるような
完全なリンゴに撮影しようと思うわけですから、大変です。
イデアはリンゴなどの自然のものだけではありません。
携帯電話でも、車でも住宅でも、
あらゆる商品には、それぞれにイデアを持っています。
でも、本当のことを言うと、撮影技術をどれだけ
駆使しても絶対的な美には到達しません。
絶対的な美に人間が到達するなんてことは、
そもそも最初から不可能な話なのです。
それでも、すこしでも近づこうとしてもがくのです。
写真撮影は、やればやるほど奥が深いと痛感しています。
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